水のうるおいと匂い
私の元気の源、その一つが川です。
都会のなかにずっといると、生命力がどんどんおちてくるような気がするんです。心も体もなんだかすっきりしない。元気がすり減っていくような感じ。こんな時は、川に行きたくなります。湿地の広がる森でもいい。水のうるおいを思い切り吸い込んで匂いをかぐと、元気がわいてくるのです。
取材で岐阜市の長良川によく通っていた頃、現地の人から聞いた話を思い出しました。川にいると元気になるよと。
川の音、色、風、うるおい、匂いを感じる。水の気を浴びると、体中の細胞が活性化するような気がします。近所のどぶのような川でも、それは十分に実感することができます。だから、私は時々近所の川を散歩します。
現代人は、ひたすら川を遠ざけてきました。都会では特に顕著で、川と人間の関係は、ほとんど接点が失われ、関係が絶えてしまっている。
心を癒し、体を健やかにしてくれる。そういう場としての川の存在に、もっと焦点を当てて考えてみるべきではないでしょうか。どこの町にも、きっと大なり小なりの水の流れはあるでしょう。そうした所は、自分たちが生きていることを実感できる、とても希少で貴重な存在であると思います。